平成30年01月号
編集・発行人 小島研二

平成30年度 年頭所感


日本ホース金具工業会
会長 蜷川広一


 平成30年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 12月8日に内閣府が発表した平成29年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の改定値は企業収益や省力化投資が設備投資を押し上げたことにより年率換算前期比2.5%増へと上方修正されました。7期連続のプラス成長ですが、11月の月例経済報告では「緩やかな回復基調が続いている」との判断を据え置いており、留意点として海外経済の不確実性や金融資本市場の変動が挙げられています。

 当工業会の需給動向ですが、建設機械向けや工作機械向けが好調で、昨年1〜10月の出荷実績は553億円(前年同期比110%)となっております。内訳は産業用ゴムホースが382億円(前年同期比112%)、自動車用ゴムホースが74億円(同94%)、樹脂ホースは64億円(同112%)、付属金具は33億円(同117%)でした。

 大手需要先である建設機械の平成29年1〜10月の本体出荷額は、国内が7567億円(前年同期比110%)、輸出が1兆815億円(同123%)、合計で1兆8382億円(同117%)でした。国内は20トン未満の中小型ショベルの排ガス規制猶予期限(H29.8.31)の駈込み需要で8月までは好調でしたが、9月、10月と2カ月連続で前年割れとなっております。輸出は中国をはじめ世界各地で建機需要が旺盛で、需要の回復が遅れていた鉱山機械市場も活性化しつつあり、新興国でのインフラ投資や資源開発に伴う需要が旺盛で好調に推移しています。自動車の1〜10月の実績ですが、生産台数は804万台(前年同期比106%)、国内販売台数は373万台(同98%)、輸出台数は411万台(同97%)となっています。工作機械の1〜10月の受注金額は内需が5117億円(前年同期比116%)、外需が8095億円(同137%)合計で1兆3212億円(同128%)と一昨年12月から11カ月連続で前年同月比プラスが続いています。

 さて、今年度ですが、経済対策に伴う公共投資増加による下支えがあり、緩やかな景気回復基調は継続すると思われます。オリンピック関連での都心部の再開発や宿泊施設など非製造業の建設投資も継続して期待出来ますし、新興国の中長期的な経済成長にも助けられ、好調は持続すると思われますが、中国の北京市などでは環境対策で建機の使用規制が実施される可能性もあり好調な中国市場の減速リスクも一部では懸念されております。

 当工業会の昨年度の事業活動ですが、例年通りホース及び継手関係のISOの審議に積極的に参画して参りました。

 ISO/TC45関連では、10月に米国・ハワイ島で行われた国際会議に「ホース製品分科会」と「ホース試験方法分科会」委員の方に参画頂き、ISO/FDIS16301「ジャッキ用ホース」やISO/19385「ウォータージェット用ホース」ISO/FDIS19718「レスキューツール用ホース」等の規格案を審議しました。

 ISO/TC131関連では10月にスイス、ヴィンタートゥールで国際会議が開催されましたが「液圧継手ホース分科会」委員の方に参画頂き、ISO/TS17165-2「液圧用ホースアセンブリの取扱い基準」等の規格案を審議しました。TS17165-2のホース保管期限(バルク4年+製品2年)という日本側の提案については特に意見はなく、無事規格化される予定です。この「液圧用ホースアセンブリの取り扱い基準」については、日本ゴムホース工業会と合同の「RHC委員会」で従来規格(JHCA-STD-20-1994)の見直しを実施するとともに、TC131の「液圧継手ホース分科会」で液圧用ホースを使用されるユーザーの為に新たなJFPS(日本フルードパワー工業会)規格として制定する打ち合わせを実施しております。本年も中国、杭州市で開催予定のTC45及びドイツ、フランクフルトで開催予定のTC131の国際会議に参画し、日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する活動を更に推進して参ります。

 当工業会といたしましては、これからも会員相互の発展を促進する為、技術の向上並びに普及を図り、公共の安全を確保すると共に、関連業界の発展のために努力して参ります。

 末筆ながら、認定会社各社のご繁栄と皆様方のご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

以上



(工業会の所管部署であります、経済産業省製造産業局素形材産業室長岡本様のご挨拶を併せご紹介申し上げます。)

年頭に寄せて



 平成30年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。。

 我が国経済は、第2次安倍内閣が発足した平成24年12月から始まった景気拡大の期間が、高度成長期の「いざなぎ景気」を超えるまでになりました。長期にわたる景気回復により、企業収益は過去最高水準を記録するとともに、4年連続で高水準の賃上げを達成しました。

 しかし、将来に目を向けますと、我が国は、少子高齢化という社会構造の変化により、内需の成熟化、労働力人口の減少に伴う働き手不足、期待成長率の低さによる国内投資の伸び悩み等、困難な構造問題を多く抱えております。

 我が国のものづくりの基盤である素形材産業としても、生産実績については、リーマンショックの影響により大きく落ち込んだ後、平成28年以降、ゆるやかな上昇傾向となっているものの、エネルギーコストの高止まりや原材料価格の高騰、取引構造上の課題等、引き続き取り巻く事業環境は厳しく、また、アベノミクスの効果により企業収益は大企業を中心に伸びている中にあって、中小企業、なかでも中小製造業は低迷しています。

 こうした状況を踏まえ、まずは、取引条件の改善とともに、サプライチェーン全体にわたる付加価値向上に向けた取組が重要と考えております。昨年は、適正な取引を推進するための「素形材産業取引ガイドライン」の改訂を行い、これらの取組を先導する素形材業界の方々によって、ガイドラインを自主的な取組として実践していくための「素形材産業の適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」が策定され、各業界において積極的に取り組んでいただきました。さらには、「未来志向型・型管理の適正化に向けたアクションプラン」を取りまとめました。これは、自動車・素形材業界のサプライチェーン全体における議論にてとりまとめられた経緯から、発注者・受注者双方による公正な取引環境の実現に向けた大きな一歩となることを期待しております。本年も、これら各種ツールを多くの皆様にご活用頂くための周知活動をはじめ、関係業界の皆様と連携させて頂きながら、取組を進めてまいります。

 次に、素形材産業の各企業が有する、世界トップクラスの技術力、生産管理力を活かし、これからの激しい変化や高まる不透明感の中にあっても、「稼ぐ力」を発揮しつづけられるよう、具体的な取組を着実に進めて頂くことが益々重要となります。昨年とりまとめられた“素形材産業を含めた製造基盤技術を活かした「稼ぐ力」研究会”の成果を踏まえると、素形材企業の方々が持っている技術や強みを、他社企業に訴えていくことが必要と言えます。それを円滑に実施するための手段の一つとして、ユーザー目線で自社の技術や強みを説明する共通言語のようなものがあればお互いに迅速かつ的確に理解できるのではないかと考え、実際にどうすればそのような言語化が可能か、検討してまいります。

 関連して、経済産業省では、第四次産業革命において、我が国が目指す産業の在り方として「ConnectedIndustries」というコンセプトを打ち出しております。これは、様々な業種、企業、人、機械、データをつなげて、AI等により、新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性の向上を促すことで、先述の構造問題等の社会課題に対応し、産業競争力の強化を図っていくというものです。

 素形材産業室としましても、業界関係者、大学をはじめとする各界と密に連携させて頂きながら、「稼ぐ力」に向けた先進事例の共有、海外ミッションの実施、各種支援策の活用促進をはじめとして、素形材産業の皆様による挑戦を後押ししてまいります。

 また、次世代型産業用の積層造形技術(3Dプリンタ)の研究開発プロジェクトにおいては、最終年度を迎えることとなりますが、我が国素形材産業の競争力向上に活用して頂けるよう、目標に掲げた世界最高水準の成果を追求してまいります。

 平成30年の干支は戌。イヌは古くから人類と共存してきた最も親しい動物と言えます。戌は万物畢く成る、“収穫”の象徴です。この戌年に皆様方が多くの収穫を得ていただきたいと思います。

 末筆ながら、本年の皆様の御健康と御多幸を、そして我が国素形材産業の着実な発展を祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。

平成30年元旦

素形材産業室長
岡本 繁樹

 
Copyright 2004〜日本ホース金具工業会・JHCA. All rights reserved.